春のワサビ

一刻館に春がやってきた。「なにも変わらない春に、ちょこっとワサビをきかせる事件がやってまいりました」という含みのある語りとともに。

響子宛に一刻館の大家から一本の電話が入り、次の日曜日に急遽大家が来館することに。住人たちは戸惑い不安がるが、当日になり大家とは響子の父親「音無さん」であることを知り安心する。

音無さんは響子と孫の郁子を連れあるところに出かける予定だったが、いざ出発しようとしたその時、腰を痛めてしまい急遽五代も音無さんに肩を貸しながら同行することに。行き先も知らずに3人に同行した五代だったが、なんとそれは響子の夫であり音無さんの息子、すでに他界した「惣一郎」の墓参りだった。


考察など

前話から2ヶ月ほどが経っており、五代は無事大学生になっている。

響子がここまで愛犬の「惣一郎さん」という名前にこだわっていたり、とあるごとにその名を口にしていた理由が明らかになった。

ラストは少しコミカルな描写になっているが、「死人は無敵」という言葉が、これからの五代と響子、そして他界した惣一郎との関係性を物語っている。


日時

昭和56年(五代20歳の年) 4月


初登場

音無さん、郁子